ウェブサイトやアプリのパフォーマンス向上に欠かせないツール、それがGoogle アナリティクスです。
Google が提供する無料のWeb解析サービスであるGoogle アナリティクスは、ウェブサイトやアプリに訪れるユーザーの行動を分析し、マーケティング施策の効果測定や改善に役立てることができます。
しかし、近年Google アナリティクスは大きな変化を遂げました。
従来のUA(Universal Analytics)からGA4(Google Analytics 4)への移行が進み、
分析軸や計測方法が大きく変更されています。
そこで今回は、最新版Google アナリティクスであるGA4についてと、UAとGA4の違いも詳しく解説します。
Google アナリティクスとは?
Google アナリティクス(GA)は、Googleが提供する無料のウェブ解析ツールです。
このツールは、セッション、ユーザー、ページビュー数、コンバージョン、流入経路といった
幅広いデータを詳細に確認でき、効率的にウェブサイトの運用を改善できます。
登録したウェブサイトには、個別にJavaScriptで書かれた「トラッキングコード」が提供されます。
このコードをサイトに埋め込むことで、さまざまなデータを収集し、分析を開始できます。
ユニバーサルアナリティクス(UA)のサポートは2023年7月1日に終了し、
2024年7月1日には閲覧が終了してしまいます。
現在は2020年10月にリリースされた「Google アナリティクス(GA4)」に移管しています。
UAとGA4の最も大きな違いは「測定軸と計算方法が異なる」という点です。
UAではセッション内におけるページやページ間遷移を計測していましたが、
GA4ではユーザー行動のひとつひとつを「イベント」にて計測しています。
最新バージョンのGoogle アナリティクス4(GA4)について以下の章では解説していきます。
GA4の特徴
ユーザーのオンライン行動をより包括的に計測できるツールです。ウェブサイトやアプリ、動画サイトなど、さまざまなプラットフォームでのユーザーの動向を把握することが可能です。
この新バージョンでは、ユーザーの行動を理解しやすくするための新たな計測手法や、機械学習を活用した行動の予測機能が導入されています。
GA4の4つの特徴は、
1.機械学習の導入
機械学習が導入され、過去のデータを元に将来の動向を予測することができるようになりました。
具体的には、以下の2つの予測機能が提供されています。
- 購入の可能性予測: ユーザーがウェブサイトやアプリを訪れた際に、そのユーザーが今後7日以内に商品を購入する可能性を予測します。
- 離脱の可能性予測: ユーザーが最近アクティビティのあったウェブサイトやアプリを、今後7日以内に利用しなくなる可能性を予測します。
これらの予測機能を活用することで、将来の売上を見積もったり、商品を購入する可能性が高いユーザーに対して的確なマーケティング戦略を立てることができます。
2.ユーザーを中心とした測定
ユーザーの行動をデバイスやプラットフォームに依存せずに追跡することが可能です。これにより、ユーザーがウェブやアプリを介してどのような行動をとったかを明確に把握できます。
この新しい機能により、マーケティング担当者は複数のID(たとえばユーザーIDやデバイス情報のCookieなど)を統合し、ユーザーが複数のデバイスをまたいで行動する様子を把握できます。例えば、ユーザーがウェブ上の広告をクリックしてビジネスを発見し、後にアプリをダウンロードして購入まで至ったかどうかをデータで確認することができます。
これまでのアナリティクスでは、デバイスごとにユーザーが別々に識別されていました。つまり、同じユーザーでも異なるデバイスを使用した場合には別々のユーザーとしてカウントされてしまう可能性がありました。しかし、GA4ではこのような断片化された測定ではなく、ユーザーを中心に捉えたデータ解析が可能になりました。
3.自動計測の充実
GA4では、新たな自動計測機能が導入され、スクロール数や離脱クリック、サイト内検索、動画エンゲージメントなどのイベントが自動的に計測されるようになりました。
これにより、ユーザーは個別のタグ設定をする必要がなくなり、ユニバーサルアナリティクス上で必要だった手間を省くことができます。特に、アナリティクスの設定に慣れていないユーザーでも、これらのイベントの計測が簡単に行えるようになりました。
ただし、自動計測を利用するには、データストリームのウェブセクションで測定強化のイベントオプションを有効にする必要があります。また、特定の条件やタイミングでイベントを計測したい場合には、Google タグマネージャーやgtag.jsでの個別設定が必要です。
4.より深いデータの活用
「自動計測の充実」では、GA4が自動的にさまざまなイベントを計測できるようになりました。これにより、従来は個別でタグの設定が必要だったイベント計測が、自動的に行われるようになりました。
具体的には、「スクロール数」や「離脱クリック」、「サイト内検索」、「動画エンゲージメント」といったイベントが自動で計測されます。これにより、アナリティクスの設定に慣れていない人でも、これらのイベント計測を容易に行えるようになりました。
ただし、自動計測を利用するには、データストリームのウェブセクションで測定強化のイベントオプションを有効にする必要があります。また、特定の条件やタイミングでイベントを計測したい場合には、Google タグマネージャーやgtag.jsでの個別設定が必要です。
GA4で押さえておきたい概念
GA4で押さえておきたい概念には、データストリーム、イベント、イベントパラメータ、ユーザープロパティがあります。
データストリームは、データが計測されたデータベースを指し、1つのプロパティ内に複数の異なる形式のデータストリームが存在します。これにより、ウェブとアプリのデータを統合して計測し、異なるデバイスをまたぐユーザー行動も同一ユーザーとして認識できます。
イベントは、GA4でデータを計測する際の概念であり、各種データをイベントとして計測します。例えば、「セッションスタート」や「コンバージョン」などがイベントになります。
イベントパラメータは、個々のイベントをより具体的に判別するために使用されます。これにより、イベントが発生したコンテキストや詳細情報を取得できます。
ユーザープロパティは、ユーザーの分類情報を計測する機能であり、顧客情報に基づく性年代や顧客ランクなどの情報を計測できます。これにより、異なるユーザーセグメントの行動や特性を分析することができます。
これらの概念を理解することで、GA4を効果的に活用し、より詳細なデータ分析が可能になります。
Googleアナリティクス UAとGA4の違い
UAとGA4の最も大きな違いは、計測軸の違いです。
- UA: セッションを軸とした計測
- セッション: ユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでの連続した一連の行動
- ページビュー: セッション中に閲覧されたページの数
- GA4: ユーザーを軸とした計測
- ユーザー: サイトを訪問した人
- イベント: ユーザーが行ったすべての行動(ページビュー、クリック、動画再生など)
この違いにより、以下のような点が大きく変化しています。
- 指標: UAではセッションやページビューが主要な指標でしたが、GA4ではイベントが主要な指標となる。
- レポート: UAではセッションやページビューを軸としたレポートが中心でしたが、GA4ではユーザーを軸としたレポートが中心となる。
データの収集方法の違い
UAとGA4では、データの収集方法も大きく異なります。
- UA: ページビュータグによるデータ収集
- ページビュータグ: 各ページに設置するタグで、ページビューなどのデータを収集する
- GA4: イベントベースのデータ収集
- イベント: ユーザーが行ったすべての行動
- イベントタグ: イベントを計測するために設置するタグ
この違いにより、以下のような点が変化しています。
- 計測できるデータ: UAではページビューやセッション時間しか計測できませんでしたが、GA4では動画再生時間やスクロール率などの詳細な行動も計測できる。
- 設定: UAではページビュータグを設置するだけで計測を開始できますが、GA4ではイベントタグを個別に設定する必要がある。
その他の違い
UAとGA4には、上記以外にも以下のような違いがあります。
- データモデル: UAは関係型データベースモデルを採用していましたが、GA4は非関係型データベースモデルを採用している。
- 処理速度: GA4はUAよりも処理速度が速い。
- AI機能: GA4には、AIによる自動分析機能が搭載されている。
それぞれのメリット・デメリット
UAとGA4には、それぞれメリットとデメリットがあります。
UA
メリット:
- 長年利用されているため、知識やノウハウが豊富
- シンプルで使いやすい
デメリット:
- 最新のWebサイトやアプリの計測に対応していない
- データの分析精度が低い
GA4
メリット:
- 最新のWebサイトやアプリの計測に対応している
- データの分析精度が高い
- AIによる自動分析機能が搭載されている
デメリット:
- まだ新しいツールなので、知識やノウハウが少ない
- UAよりも設定が複雑
Googleアナリティクス UAからGA4への移行方法
移行手順は以下になります。
- GA4プロパティを作成する
- Googleアナリティクスにログインし、「プロパティ」→「新しいプロパティを作成」を選択します。
- 「Google アナリティクス 4 プロパティ」を選択し、「プロパティを作成」をクリックします。
- プロパティ名とタイムゾーンを設定し、「作成」をクリックします。
- UAプロパティとGA4プロパティを連携させる
- UAプロパティの管理画面に移動し、「管理」→「データストリーム」を選択します。
- 「ウェブストリーム」→「詳細設定」→「Google アナリティクス 4 設定アシスタント」の順にクリックします。
- 「GA4プロパティとのリンクを確立」をクリックし、作成したGA4プロパティを選択します。
- 「リンク」をクリックして連携を完了します。
- GA4プロパティでデータ収集を開始する
- GA4プロパティの管理画面に移動し、「管理」→「データストリーム」を選択します。
- ウェブストリームを選択し、「測定ID」を確認します。
- ヘッダーとフッタータグを取得し、ウェブサイトに設置します。
- UAプロパティのデータをGA4プロパティに移行する
- Googleサポートの「UA から GA4 へのデータ移行」
移行の際の注意点
- 移行前に、UAプロパティとGA4プロパティの設定をしっかりと確認しておきましょう。
- 移行後も、UAプロパティとGA4プロパティの両方をしばらく監視し、データに問題がないことを確認しましょう。
- 移行には時間がかかる場合があるため、余裕を持って作業を進めましょう。
Googleアナリティクスで計測できる指標
Googleアナリティクスにおいて重要な指標は、使用者の訪問数やその質に関する情報であり、
これはウェブサイトの目的や求めるデータによって異なります。
ユーザーセグメントの特定や、ウェブサイトの改善に役立つデータを把握するために、
特定の項目を確認します。
ユーザー:訪問ユーザーの数と質が分かる
集客:アクセス元の経路がわかる
行動:ページの閲覧数が分かる
コンバージョン:CVの数が分かる
また、「集客」においてはウェブサイトへのアクセス元であるチャネルを把握することも重要です。
左側のメニューから「集客」を選択し、「概要」をクリックすると、
「集客サマリー」レポートが表示されます。このレポートでは、以下の数値を確認できます。
・上位のチャネル
・ユーザー数
・コンバージョン数
ここでは、上位のチャネルごとに主要な指標を確認します。
・オーガニック(自然検索):Googleなどの検索エンジンからの自然な流入
・ソーシャル:FacebookやInstagram、Twitterなどのソーシャルメディアからの流入
・ダイレクト:ウェブサイトへの直接的なアクセス、
つまりURLを直接入力したり、ブックマークからのアクセスを指します。
・リファラル:他のウェブサイトからのリンクを経由しての流入
・有料検索:検索連動型広告(リスティング広告など)からの流入
・ディスプレイ、その他の広告:ディスプレイ広告など、検索連動型広告以外の広告からの流入を指します。
これらの情報を通じて、
どのチャネルがウェブサイトに最も効果的にトラフィックをもたらしているかを把握し、
適切なマーケティング戦略を検討することができます。
その他、以下のような違いがあります。
- データ保持期間: UAは50ヶ月でしたが、GA4は14ヶ月まで短縮されています。
- レポート: GA4はレポートの種類が5種類あります。
5種類の内、初心者で扱えるものから上級者向けに細かく分類されています。 - 機械学習: GA4には、機械学習による予測機能が搭載されています。
- レポート自動配信機能:GA4は廃止しています。
Google Analyticsにおいて、「コンバージョン」は重要な指標です。
目標を設定することで、登録完了ページや購入完了ページ、
ダウンロード完了画面などの特定の行動の達成を計測できます。
左側のメニューから「コンバージョン」を選択し、「目標」をクリックすると、
「目標サマリー」レポートが表示されます。このレポートでは、以下の項目が確認できます。
・目標の完了数
・目標値
・コンバージョン率
・目標全体の放棄率
・目標ごとの完了数
施策を実施した後、コンバージョンがどのように変化したかを把握するためには、
「コンバージョン」メニュー内の目標の設定とサマリーの確認が重要です。
これにより、特定の行動の達成状況やマーケティング施策の効果を評価できます。
まとめ
Google アナリティクスは、ウェブサイトやアプリのトラフィックデータを分析し、
マーケティング施策の効果測定や改善に役立つ無料のWeb解析サービスです。
UAとGA4はそれぞれ異なる特徴を持っているため、分析目的や状況に合わせて使い分けることが重要です。
この情報が、Google アナリティクスを理解し、活用するのに役立つことを願っています。
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