2023年10月から導入された消費税の納税に関する新しい制度、「インボイス制度」。
このインボイス制度の目的は、取引ごとの税率と税額を正確に把握する事です。

この制度は、フリーランスに一体どのような影響を与えるのでしょうか?

そして、この度のインボイス制度の導入によってやり方が変わるのが、消費税の確定申告。

これまで消費税の免税事業者だった法人・フリーランス・個人事業主はインボイス制度に対応するために消費税の確定申告をしなくてはいけません。

この記事では、2024年の確定申告におけるインボイス制度の影響と、その対策について簡潔に解説します。

☑インボイスって何?
簡単に言えば、商品ごとの価格と税金が記載された書類です。

☑なんで必要なの?
消費税の軽減税率が導入された今、正しい納税額を計算するために必要不可欠なのです。
インボイスは事業者同士が正しい税金を支払うために必要な新しいルールです。

フリーランスの確定申告の基本

確定申告の用紙の画像

 まずは、フリーランスの確定申告の基本についてお話していきます。

 フリーランスとして活動している場合、事業所得がある場合は確定申告が必要です。
確定申告は、1年間に得た所得から必要経費を差し引いた課税対象となる金額を申告し、所得税を納めるための申告手続きです。

まずは、確定申告に関する基本的な情報を見ていきましょう。

確定申告とは


 確定申告は、納税者自らが1年間の所得と必要経費を申告することで、適切な課税額を決定し、納税する手続きです。
この手続きは、経済活動に従事する人が自分の課税対象所得を申告し、税金を滞納しないようにするための重要なプロセスです。

わかりやすく簡単に言うと・・・

確定申告とは・・・
1年間の”儲け”から国に払う税金を決める手続き
■期間
  1月1日~12月31日
■内容
 〇売上(収入)-経費(仕事に必要な支出)=儲け
 〇儲け×税率=国に払う税金(課税対象所得)
 〇確定申告書を提出

確定申告が必要な人


 以下に該当する方は、確定申告が必要です。

事業所得が48万円を超えるフリーランス
・副業で20万円を超える収入がある人
・年末調整を受けていない人
・医療費控除やふるさと納税などの控除を受ける人

確定申告の必要書類


 確定申告には、以下の書類が必要です。

・確定申告書:
  所得や必要経費などを記入する書類

・所得控除を受けるための書類:
  医療控除なら医療費領収書、ふるさと納税なら寄付控除証明書など

・収支内訳書:
 事業所得の収入や支出を記録した書類
 損益計算書・貸借対照表

・請求書・領収書:
 事業活動に関する費用を証明する書類

 
※上記は基本的な情報です。詳細は、国税庁のホームページ等でご確認ください。


税務署への提出期限と方法


 確定申告書類の提出期限と方法を確認して、正確な納税とスムーズな手続きを行いましょう。
 

税務署への提出期限

提出方法


 2024年の確定申告の提出期限は、2025年3月15日です。
 ※土日祝日の場合は、翌平日が期限となります。

①電子申告:
 国税庁のホームページから申告できます。
 24時間365日申告可能で、申告書の印刷や郵送の手間が省けます。
 マイナンバーカードや電子証明書が必要です。

②郵送:
 申告書を印刷して、税務署に郵送します。
 誤字脱字や記入漏れがないように注意が必要です。
 余裕をもって投函しましょう。

③税務署持参:
 申告書を税務署に直接持参します。
 税務署の窓口で申告書の確認を受けられます。
 混雑が予想されるため、早めの来訪がおすすめです。

インボイス制度とは?

消費税という文字が書いてある木のブロックがカートに入っている画像

インボイス制度とは、2023年10月から導入された新しい消費税制度です。

ここでは、インボイス制度の概要とフリーランスへの影響、そして確定申告で使える情報について分かりやすく解説します。

インボイス制度の概要


 インボイス制度は、適格請求書発行事業者(課税事業者)のみが発行できる
「インボイス(適格請求書)」を用いて、仕入税額控除を受けるための制度です。

★適格請求書発行事業者・・・税務署に登録した適格請求書を発行できる事業者
★仕入税額控除・・・仕入・経費で払った消費税を課税売上げで受け取った消費税額から差し引くこと
★インボイス・・・適格請求書発行事業者が発行した適格請求書。仕入税額控除に必要

インボイスは事業者同士が正しい税金を支払うために必要なルールです。

 事前に適格請求書発行事業者登録をして要件を満たした請求書を交付することで「誰が、いつ、何を、合計いくらで販売し、そのうち税率は何%だったのか」をわかりやすくするための制度です。

インボイス制度のポイント】

①的確請求書発行事業者(課税事業者)のみが発行できる「インボイス」という書類が必要
②仕入税額控除を受けるためには、インボイスの保存が必要
③小規模事業者(年商1,000万円以下の事業者)は、インボイス不要

売手である登録事業者は、買手である課税事業者から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。

買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、売手である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。

なお、2割特例や簡易課税制度を適用する場合、消費税の計算に当たっては、インボイスの入手や保存は必要ありません。
ただし、所得税等の観点からは、これまでどおり保存が必要です。


インボイスの発行手順


 適格請求書発行事業者は、取引先にインボイスを発行する必要があります。
インボイス発行手順は以下のとおりです。

申請書の作成
国税庁に提出
取引先へ通知

申請書の作成
まずは国税庁専用サイトからインボイス登録申請書をダウンロード
もしくは、e-Taxを利用した電子申請が可能です。

以下の必要事項を記載しましょう。
・売り手と買い手の氏名及び住所
・適用税率
・課税標準額
・消費税額
・登録番号

国税庁に提出
 申請書に必要事項を記載したら国税庁に提出しましょう。
郵送で提出する場合は、各国税局のインボイス登録センターへ。

税務署で審査を経て、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者) として登録された場合、登録番号や公表情報が記載されている「登録通知書」が送付されます。
紛失などがないように大切に保管しましょう!

e-Taxで申請した場合は、登録通知書をデータで受け取ることが可能なので紛失の心配がなく利用できます。

取引先へ通知
 取引先に対して、登録番号や交付及び受領方法の連絡を行いましょう。
e-TaXを利用して登録通知をデータで受け取っておくと取引先への通知もスムーズです。

また、自社で利用している会計システム等がインボイス制度に対応できているかどうかの確認も大切です。

インボイス制度がフリーランスに与える4つの影響

パソコンを操作している人の手元の画像。自宅のデスクで作業をしているフリーランスのイメージ

インボイス制度は、フリーランスにも影響を与えます。

具体的には、以下のとおりです。

【インボイス制度がフリーランスに与える4つの影響】
年商1,000万円以上のフリーランスは登録が必要
取引先との書類のやりとりが増える
事務作業が増える
インボイスを登録しないと取引先への税負担を増やしてしまう

それでは、ひとつひとつ解説していきましょう。

年商1,000万円以上のフリーランスは登録が必要


 年商(年間売上高)が1,000万円を超えるフリーランスは、適格請求書発行事業者として登録する必要があります。
登録をしないと、取引先からもらえるはずの税金(仕入税額控除)が戻ってこなくなります。

取引先との書類のやりとりが増える


 適格請求書発行事業者は、取引先にインボイスを発行する必要があります。つまり請求書に新しい書類「インボイス」が必要になります。
また、仕入税額控除を受けるためには、取引先から受け取ったインボイスを保存する必要があります。保存が必要な期間は、原則7年間です。

事務作業が増える


 インボイス制度の導入により、インボイスの発行・保存などフリーランスの事務量が増加する可能性があります。

インボイスを登録しないと取引先への税負担を増やしてしまう


 インボイス制度導入後にインボイス登録をしていない場合、取引先が仕入れ税額控除を受けることができません。結果、取引先への税負担を増やしてしまいます。

取引先への税負担を増加させてしまう事によって考えられるのは
取引の減少や値下げの要求につながる可能性があるということ。

インボイス制度の開始でフリーランスの利益が減少する可能性もあり、今まで以上に資金繰りに注意しなくてはいけません。

 フリーランスはインボイス制度への理解を深め、適切な対応をとることでリスクを軽減し、事業を継続していく必要があります。

確定申告におけるインボイス制度の影響とは?

確定申告の用紙とスマートフォンの画像

 インボイス制度が導入されたことによって、確定申告には一体どんな影響がでるのでしょうか?
インボイス制度は消費税に関する制度なので、所得税の確定申告に直接の影響は実はないのです。
ですが、今まで免税事業者だった法人やフリーランスがインボイス制度に対応するには消費税の確定申告が必要になってきます。
つまり、インボイス制度によって影響を受けるのは消費税の確定申告のやり方です。

消費税の課税事業者の場合


 従来の確定申告は、課税事業者なら誰でも行うもの。ですが、簡易課税制度を利用していれば、インボイス制度の影響はありません。

一方、本則課税の場合は、適格請求書発行事業者以外から購入したものには、仕入税額控除の制限されるため注意してください。
つまり、請求書や領収書の内容によっては、控除を受けられない可能性があります。

本則課税でインボイス制度を活用するには、以下の点に注意が必要です。

☑取引先が適格請求書発行事業者かどうか確認する
☑請求書や領収書はインボイスとして保存する

★本則課税・・・本則課税は、消費税の課税事業者が納税額を計算する方法の一つで、実際の仕入税額を差し引いて課税標準額を算出する方式です。
つまり、売上高から仕入にかかった消費税額を引いた金額に消費税を課税します。

なお、インボイス制度においては経過措置があり、その期間中は免税事業者からの請求書に対しても一定の割合で仕入税額控除が受けられます。

経過措置期間によって控除割合が変動し、経過措置で受ける仕入税額控除と通常の仕入税額控除では、仕訳方法が異なります。

また、基準期間または特定期間の売上額が一定以下の事業者は、税込1万円未満の取引分に対して、仕入税額控除のための適格請求書の保管が不要である少額特例の対象となります。

この少額特例は2023年10月1日から2029年9月30日の間の取引に限り認められています。

新たに消費税の課税事業者になった場合


 免税事業者から課税事業者に転換した場合、消費税の確定申告が必要です。
つまり・・・
インボイス発行事業者の登録を受けると、消費税の申告が必要になります。

売上が一定以下の場合、本則課税・簡易課税・2割特例から選択できます。本則課税は、支払った消費税を差し引いた金額を納税する方法です。
簡易課税は、みなし仕入れ率を用いて消費税を納税します。みなし仕入れ率は事業内容によって異なります。

簡易課税は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者向けの軽減制度です。

また、免税事業者から課税事業者になった場合、一定期間、売上税額の20%を軽減する「2割特例」があります。
この特例の対象期間は2023年10月1日から2026年9月30日までの課税期間です。

~2割特例を適用する場合の計算方法~
売上の消費税額 - 仕入れや経費の消費税額 = 納付する税額
               ↑
          売上の消費税 × 80%
売上税額が分かれば納付税額の計算が可能

2割特例を適用するためには・・・
事前の届出書の提出は不要!
確定申告の際に、2割特例を適用する旨を付記すると適用することができます。

消費税の免税事業者の場合


 免税事業者は、インボイス制度の対象外です。つまり、適格請求書を発行する必要はなく、消費税の確定申告も不要です。

ただし、以下の点には注意が必要です。

課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々年の3月31日までに課税事業者登録をする必要があります。
課税事業者登録後は、消費税の納税義務が発生します。

2024年の確定申告、7つの変更点

2024確定申告7つの変更点と書いており、数字の部分を指指している画像。

 2024年分の確定申告では、7つの変更点があります。

特にフリーランスの方に注目していただきたいのは・・・

2024年の確定申告、フリーランスが特に注意すべきは以下の2つ!

インボイス制度の影響
 フリーランスの方で、課税事業者として登録している場合は、インボイス制度の影響を受けます。具体的には、適格請求書発行事業者からの購入額によっては、仕入税額控除を受けられなくなる可能性があります。

医療費控除の控除率変更
 医療費控除の控除率が所得に応じて5%または10%に変更されます。

それでは以上も踏まえながら、変更点をひとつひとつチェックしていきましょう。

申告書の送付廃止
 これまで、申告書は税務署から送付されていましたが、2024年分から送付が廃止されます。申告書は以下の方法で入手する必要があります。

【申告書の入手方法】
・国税庁のホームページからダウンロード
・税務署で入手

納税地の異動・変更届出の不要化
 引っ越しなどで納税地が変更になった場合、これまで税務署への届け出が必要でしたが、2024年分から不要になります。
ただし、以下の場合は、依然として届け出が必要です。

・所得税の還付を受ける場合
・青色申告特別控除を受ける場合
・外国税額控除を受ける場合
・特定居住者等の配当控除を受ける場合

国外居住親族の扶養控除要件厳格化
 国外居住親族の扶養控除を受けるためには、これまで一定の送金額等の条件を満たせばよかったのですが、2024年分から要件が厳格化されます。

上場株式等の配当申告方法の統一
 2023年までは、上場株式等と外国株式等で配当の申告方法が異なっていましたが、2024年分から統一されます。

消費税インボイス制度の影響
 2023年10月から導入された消費税インボイス制度の影響が、2024年分の所得税にも及びます。具体的には、以下のようになります。

・適格請求書発行事業者は、課税売上と非課税売上を区分して帳簿をつける必要がある。
・免税事業者は、課税事業者からの購入額によっては、消費税を納付する必要がある。

特定非常災害損失の繰越期間延長・付表新設
 特定非常災害に係る損失の繰越期間が3年間から5年間に延長され、申告書に付表が新設されます。

医療費控除の控除率変更
 2023年までは、医療費控除の控除率は10%でしたが、2024年分から所得に応じて5%または10%に変更されます。

上記の変更点は、フリーランスの方だけでなく、すべての方に適用されます。

詳しくは、国税庁のホームページ等でご確認ください。

おわりに

8%と10%と書いてある紙
令和元年10月より消費税の軽減税率が導入され、仕入税額の中に8%のものと10%のものが混在するようになった

 インボイス制度の狙いは、取引の正確な消費税額と消費税率を把握することです。 令和元年10月より消費税の軽減税率が導入され、仕入税額の中に8%のものと10%のものが混在するようになりました。

そのため、正しい消費税の納税額を算出するために、商品ごとの価格と税率が記載された書類を保存することになったのです。

改正法令やインボイス制度導入で、2024年はいくつかの変更点がある確定申告ですが、ポイントを理解することにより、インボイス制度に上手く対応していきましょう。

インボイス制度は一見複雑そうに見えますが、早めに準備を始めて、慌てることなくスムーズに確定申告を済ませましょう。

分からないことは、国税庁のホームページや税務署に相談しましょう!

筆者から

フリーランスの方は、インボイス制度の導入により確定申告がどう変わるか心配だった人もいるのではないでしょうか?今回この記事を書きながら私は、インボイス制度は義務ではないが、インボイスを発行できないことによる既存契約継続の難しさや新規契約獲得の難しさなど、売上が少額の事業者にとっては、マイナスのダメージが避けられない可能性もあると思いました。自分の売上額により、インボイス制度を導入するか否かはしっかり検討して、節税対策をしながら自身が得する方法を考えましょう。この記事が少しでも役に立つことができたら幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました。

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