WEB業界でよく耳にする「レスポンシブデザイン」という言葉があります。聞きなれない方も多いとは思いますが、何のことかご存知でしょうか？
この記事では、そんな方々へ向けたレスポンシブデザインの基本について解説していきます。
メリットデメリットを踏まえ、どのような注意点があるか、初心者の方でも分かるように丁寧にご説明します！
ぜひレスポンシブデザインに詳しくなりましょう♪
レスポンシブデザインとは？
レスポンシブデザインとは、デバイスのウィンドウ幅に反応して、見やすい表示に自動で切り替える仕組みを持つデザインのことです。内容は全て同じですが見せ方が違うということです。
同じコンテンツを共有しながらも、デバイスに最適な表示を実現します。
PC向けに作られたWEBページをスマートフォンで閲覧すると、縮小され文字が読めないといったことが起こります。しかし、レスポンシブデザインを取り入れることにより、デバイスに合わせてサイズが最適化されます。
レスポンシブデザインの特徴
レスポンシブデザインを採用すると、PCサイトとスマートフォンサイトを別々に作る必要がありません。共通のサイトを1つ構築して、URLやHTML(画像やテキストを表示するために必要なコード)も、ページごとに1種類ずつ用意すれば良いのです。
このサイト構造のシンプルさがレスポンシブデザインの特徴であり、数々のメリットをもたらす要因となっています。
なぜ、1つのHTMLで、各デバイスに合わせた表示ができるのかというと、表示幅などのデザインはHTMLではなく、CSSというファイルでコントロールするからです。
CSSは「cascading style sheets」の略で、スタイルシートとも呼ばれます。このCSSファイルには、Media Queries（メディアクエリ）と呼ばれるものを記述します。
これは、「ウィンドウの幅が特定のピクセル以下の場合、このような表示に変更する」といった指示を含みます。これにより、サイトのデザインやテキストサイズ、ボタンの配置などを、画面の幅に合わせて柔軟に変更することが可能です。
HTML＋CSS(＋メディアクエリ)＝PCサイト / モバイルサイトを運用
メディアクエリで、HTMLの見え方を可変できるレスポンシブデザインは、一つのURL / HTMLのみで「複数のデバイス・ブラウザに対応できる」特徴があります。PCサイト / モバイルサイトを運用する場合のように、URL / HTMLをそれぞれ用意する必要はありません。
レスポンシブデザインの実例
X（エックス、旧Twitter）
ツイッターのWEBサイトやアプリは、異なるデバイスや画面サイズに対応し、コンテンツの表示が最適化されています。モバイルではシンプルなレイアウトに変化し、使いやすさが向上しています。
Google（グーグル）
Googleの検索エンジンや関連サービスは、デバイスの種類によって表示が変化し、特にスマートフォンやタブレットからのアクセスに適したインターフェースが提供されます。
Apple（アップル）
Appleの公式WEBサイトやiTunes Storeは、レスポンシブデザインを活用しており、異なるデバイスで一貫性のある視覚的な体験を提供しています。
Amazon（アマゾン）
アマゾンのWEBサイトは、デスクトップやモバイルデバイスに適応して、商品ページやナビゲーションが最適な表示に変化します。
GitHub(ギットハブ)
開発者向けのプラットフォームであるGitHubは、異なるデバイスや画面幅に対応したレスポンシブなデザインを採用しており、コードの閲覧やプロジェクトの管理がスムーズに行えます。
これらのWEBサイトやアプリは、レスポンシブデザインの手法を用いて、ユーザーエクスペリエンスを向上させています。
レスポンシブデザインのメリットデメリット
レスポンシブデザインは、多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。導入を検討する際は、メリットとデメリットを理解した上で、自社のニーズに合致しているかどうかを判断することが重要です。
レスポンシブデザインのメリット
- あらゆるデバイスで最適なユーザー体験を提供できる
スマートフォン、タブレット、PCなど、さまざまなデバイスでWEBサイトが閲覧される時代において、レスポンシブデザインはそれぞれのデバイスに最適な表示を提供します。ユーザーはストレスを感じることなく、快適にサイトを閲覧できます。 - SEO対策に有利
Googleはモバイルフレンドリーなサイトを評価するため、レスポンシブデザインはSEO対策にも有効です。 - 開発・運用コストを削減できる
デバイスごとに個別のサイトを制作する必要がなく、1つのサイトで対応できるため、開発・運用コストを削減できます。 - コンテンツ管理が容易
複数のサイトを管理する必要がなく、1つのサイトでコンテンツを管理できるため、効率的に運用できます。 - ブランドイメージの向上
ユーザーにとって使いやすく、見やすいサイトは、ブランドイメージの向上に繋がります。
レスポンシブデザインのデメリット
- デザインの自由度が制限される
すべてのデバイスで最適な表示を提供するため、デザインの自由度が制限されます。 - 開発コストが初期段階で高くなる場合がある
複雑なレイアウトや機能を実装する場合は、開発コストが初期段階で高くなる場合があります。 - 表示速度が遅くなる場合がある
画像やJavaScriptなどのファイルサイズが大きい場合、表示速度が遅くなる場合があります。 - すべてのデバイスに対応できない場合がある
古いブラウザや、特殊なデバイスでは、レスポンシブデザインが正しく機能しない場合があります。
レスポンシブデザインの作りかた
それでは実際に作るためにレイアウトや表示の設定方法、注意点を紹介します。
WEBサイトをレスポンシブにデザインする方法はいくつか手法があります。以下では、主要なポイントを紹介します。
レイアウトの種類
レスポンシブデザインでは、異なるデバイスに適した複数のレイアウトを構築することが重要です。代表的なレイアウトの種類には以下があります。
レスポンシブレイアウト
画面幅の特定の数値でレイアウトが変化するデザイン手法です。
例えば、「770px〜959pxはこのレイアウトで」といったブレイクポイント「どの幅で表示を切り替えるか」を指定し、ウィンドウサイズが変化すると自動的に適したレイアウトに切り替わります。
いずれのデバイスも年々新しい製品が登場し、画面サイズのバリエーションも増えています。
特にiPadに代表されるタブレットは、年々画面サイズが大きくなっています。
背景としては、PCではなくタブレットを仕事のメインデバイスに選ぶ人が増えていることや、電子レジや製品カタログなどタブレットの活用シーンが多様化していることが考えられます。
ブレイクポイントについて
ブレイクポイントをどこにするかは、ネットでオススメされている数値もバラバラだったりします。ターゲットにしている層によって、見られやすい端末サイズ（PC・タブレット・スマホ）も変わるので、目的に応じて対応していきましょう。
ただし、一般的なデバイスの寸法は、時間と技術の進歩によって頻繁に変動します。特定の端末サイズを基準にしている場合、新しいデバイスが登場するたびに都度調整する必要があります。
デバイスに最適化したとしても、異なるデバイスで表示が違ったり、スペースの使い方に課題が生じることがあります。
一般的なデバイスの最小幅が約375pxであるため、これを基準にデザインすると多くのケースに対応できます。ただし、360pxや320pxも考慮するべきかどうかはデバイスの状況によります。
リキッドレイアウト
リキッドレイアウトとは画面幅に合わせて全体の表示サイズも変わるものです。
WEBデザインにおける一種のレイアウト手法で、コンテンツの幅を相対的な単位やパーセンテージで指定することで、ブラウザウィンドウの幅に合わせて自動的に調整されるデザインスタイルです。
異なる画面サイズや解像度に柔軟に対応し、拡大縮小しても適切に表示される特徴があります。
一方で、ブレイクポイントの設定がないため、ある程度の範囲で流動的に変化するという点が、リキッドレイアウトの特徴となります。
フレキシブルレイアウト
フレキシブルレイアウトとはリキッドレイアウトにコンテンツの最大幅と最小幅を指定したものです。
最大幅より大きな画面幅の場合は余白が生まれます。
WEBデザインにおける一種のレイアウト手法で、コンテンツの幅を相対的な単位やパーセンテージで指定することで、ブラウザウィンドウの幅に合わせて自動的に調整されるデザインスタイルです。
異なる画面サイズや解像度に柔軟に対応し、拡大縮小しても適切に表示される特徴があります。
作成時の注意点
- ターゲットユーザーとデバイスを明確にする
誰に向けて、どのようなデバイスでサイトを閲覧するのかを明確にすることで、適切なデザインと機能を検討できます。 - シンプルで使いやすいデザインにする
複雑なデザインは、デバイスによっては表示が崩れたり、使いにくくなったりする可能性があります。 - 画像のサイズを最適化する
画像のファイルサイズが大きいと、表示速度が遅くなります。デバイスに合わせて画像サイズを最適化しましょう。 - メディアクエリを活用する
デバイスごとに異なるレイアウトやスタイルを適用するために、メディアクエリを活用しましょう。 - テストを十分に行う
さまざまなデバイスで実際に表示を確認し、問題がないことを確認しましょう。 - メンテナンスを怠らない
新しいデバイスが登場したり、ブラウザが更新されたりするため、定期的にメンテナンスを行いましょう。 - アクセシビリティに配慮する
すべてのユーザーが利用できるように、アクセシビリティに配慮したデザインを心がけましょう。
未来への展望
レスポンシブデザインは、今後も進化し続け、より多くのユーザーにとって使いやすく、魅力的なWEBサイトを提供する手段となるでしょう。
- デバイスの多様化への対応
スマートフォン、タブレット、PCに加え、ウェアラブルデバイスやIoTデバイスなど、今後もさまざまなデバイスが登場することが予想されます。レスポンシブデザインは、こうしたデバイスの多様化に対応するために、ますます重要になるでしょう。 - AI技術の活用
AI技術を活用することで、デバイスやユーザーの状況に合わせて、より最適なレイアウトやコンテンツを提供できるようになる可能性があります。 - パーソナライズ化の進展
ユーザーの好みや閲覧履歴などに基づいて、個々のユーザーに最適化されたデザインを提供できるようになる可能性があります。 - 標準化の推進
レスポンシブデザインの標準化が進むことで、開発コストの削減や、より一貫性のあるデザインの実現が可能になるでしょう。 - 3Dデザインの普及
3Dデザイン技術の発展により、より立体的な表現が可能になり、ユーザー体験が向上する可能性があります。
まとめ
レスポンシブWEBデザインには多くの利点が存在しますが、同時に留意すべき点もあります。多くのWEBページで採用されるデザインになるので、メリットデメリットを理解した上で検討してください。
また、ブレイクポイントについては、将来的にWEBサイトが長期的に運用される場合、主流な端末のサイズに左右されず、できるだけ広範な環境で最適な表示ができるようにデザインすることが理想的です。
レスポンシブデザインは完璧な100点を目指すのではなく、できるだけ多くのサイズに対応する90点を目指すアプローチだと考えています。
ユーザーの視点を重視し、最良のコンテンツを提供できるよう心掛けましょう！
様々なデバイスが普及する今の現代社会には、レスポンシブデザインは必須だと思います。未来では新しいデバイスにも対応し、AIや自動化技術が進化して、より使いやすいデザインが求められることでしょう。最後まで読んで頂きありがとうございました♪
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